坂井泉水さんは永遠不滅だ

坂井さんがボーカルを務めたZARD「負けないで」揺れる想い」「マイフレンド」など立て続けにミリオンヒットを連発、トップアーティストとして成長していく

 だが、坂井さんは事務所の方針もあってテレビの歌番組にもコンサートにも滅多に登場せず、「存在しないのではないか」という“都市伝説”まで生まれた。

 芸能メディアはベールに包まれた歌姫の素顔をスクープしようと躍起になっていた。その当時のちょっとしたエピソードを大黒摩季が打ち明けた。

 「ヘアピン、忘れちゃった」と、あるとき、坂井さんが小声で話しかけてきた。「ねえ、一緒に買いに行ってくれる?」。大黒は「それなら私がちゃっと買ってくる…」と言ったが、坂井は「一緒に行こうよ」と誘ってくる。

 大黒は「葛藤した」という。どこにメディアの取材陣が潜んでいるかわからない。「外に出かけて(もしメディアに見つかったら)怒られるのは私。撮られたら大変だ。でも絶対行きたいって…小悪魔っぽい顔するんですよ」と懐かしそうに振り返った。

 坂井さんは晩年、子宮頸がんなど病に苦しめられた。自身も婦人科系の病を患った大黒は「誰にも痛いって言えない。それでもf:id:takutakutakkunkun:20191018090514j:image

レコードディングに挑んで(病気の影響で出にくい)高音を出して…。その彼女が苦しいときに私のところにこそっと来た。歌いたかったんだろうな」と坂井さんの辛さを感じていた。

 2007年5月、坂井さんは入院先で不慮の転落死を遂げた。大黒が訃報を聞いたのは、デビュー15周年ライブが終わった直後だった。

 「本当に口が聞けなかった。体が動かなくなった」とあまりの衝撃にぼう然となった。

 そして「代わってあげたいと思いましたね。私が死んだってだれも何とも思わない。泉水ちゃんは世の中に必要な人。私の歌は女子の一時の気持ちを発散させるだけ。泉水ちゃんみたいな歌の人は生きていないと…。代わってやりたかった」と悲痛な思いを語り、涙が止まらなかった。

f:id:takutakutakkunkun:20191018090531j:image